Makuake

X-SCOOTER LOM——立ち乗り原付、5年後の通信簿

Alex Ishiguro 読了目安:6分
X-SCOOTER LOM——立ち乗り原付、5年後の通信簿
目次
  1. 1プロダクト概要
  2. 2クリエイター・プロフィール
  3. 3市場背景
  4. 4気になるポイント
  5. 5応援したいポイント
  6. 6比較・代替案
  7. 7まとめ

glafit株式会社が2020年5月28日にMakuakeで公開した立ち乗り型電動スクーター「X-SCOOTER LOM」。キャンペーン期間は2020年5月28日から8月25日までの約89日間で、終了から約5年8ヶ月が経過した。最終支援総額は約1億5,498万円、支援者1,829名〔確認済——Makuakeキャンペーンページ 2020年8月25日終了〕。glafitにとっては前作「GFR-01」に続くMakuake2作連続の1億円超えとなった。

原付一種として公道を走れる立ち乗りモビリティという新カテゴリに挑んだLOM。COVID-19禍の出荷遅延、アプリの初期不具合、そして2023年の特定小型原付制度の登場——5年超を経た現在、製品と会社の実態を検証する。

プロダクト概要

前輪12インチ・後輪10インチの大径タイヤを持つ折りたたみ式立ち乗り電動スクーター「X-SCOOTER LOM」の外観・スペック・公道走行仕様を紹介する。
出典:glafit 公式サイト

前輪12インチ・後輪10インチの大径タイヤを採用した立ち乗り型電動スクーター。正面向きの両足並行姿勢で乗車し、原付一種(第一種原動機付自転車)として公道走行が可能。最高速度25km/h以上(Highモード)、一充電あたり約40km走行〔メーカー公称——glafit.com、テスト環境最大値・独立検証なし〕。折りたたみハンドル搭載で収納時は片手持ちサイズになり、車両重量は約24kg。Panasonic製BMS(Battery Management System)搭載のバッテリーは着脱式で室内充電に対応する。

一般販売価格は242,000円(税込)〔確認済——glafit公式サイト、2022年1月14日発表〕。Makuake応援購入では超早割105,000円(30%OFF・先着200台)が最安リターンで、支援総額÷支援者数から算出した平均支援単価は約84,700円。

クリエイター・プロフィール

和歌山を拠点に立ち乗り電動モビリティを開発するglafit株式会社とCEO鳴海禎造の実績・資金調達・事業継続性を紹介する。
出典:マイナビニュース

glafit株式会社、代表取締役CEO鳴海禎造。和歌山県を拠点に、2025年4月には開発・生産・物流一体化を目的とした本社移転を実施〔確認済——glafit.com 2025年5月1日〕。前作のハイブリッドバイク「GFR-01」はMakuakeで1億2,800万円超を集めた実績を持つ。2021年11月にはアイシン系CVCやPegasus Tech Venturesから約10億円を調達。2026年4月時点で倒産・事業終了の情報はなく、製品発表と資金調達を継続中〔確認済——startup-db.com 2026年4月17日確認〕。

市場背景

2020年当時の原付規制という制約と2023年の道交法改正による特定小型原付新設が、LOMの市場ポジションをどう変えたかを説明する。
出典:Impress Watch

2020年当時、電動キックボードの公道走行には原付免許・ナンバー・自賠責が必須で、保安基準を満たす市販品は限られていた。LOMはこの制約を逆手に取り、保安部品フル装備・国内組立で「届いたらすぐ走れる」原付一種を実現した。

風向きが変わったのは2023年7月。道路交通法改正で特定小型原動機付自転車(免許不要・最高速度20km/h)が新設され、LUUPをはじめとするシェアリングサービスや安価な新規参入品が急増した。LOMは原付一種のまま据え置かれ、免許不要の競合勢と価格・手軽さの両面で競う構図に変わった。glafitがMakuakeを選んだのは、公道走行可能な立ち乗りモビリティという未知カテゴリで市場の受容度を測る実証実験の意味合いが大きかったといえる。

気になるポイント

走行中の電源遮断。回生エネルギーの処理設計とバッテリー保護システムに起因する走行中の電源遮断がekick-lab.comのレビューで報告されている〔確認済——ekick-lab.com 2021年〕。走行安全に直結する事象であり、現行ファームウェアでの改善状況は公式に明示されていない。

出荷遅延と情報開示の不足。当初2020年12月末の出荷予定が、COVID-19による部材調達難を理由に2021年夏以降まで大幅にずれ込んだ。Makuake支援者のgt1000氏ははてなブログ(2021年8月15日)で遅延そのものよりも経緯説明の不足を問題の本質として分析している〔要検証——ソースページ現行版で該当記述の原文未確認〕。5chの関連スレッドでも「出荷時期のアナウンスがない」「質問にも答えてくれない」と情報共有不足への批判が2021年に複数投稿された〔確認済——5ch 2021年〕。

アプリ連携の動作不良。LOMの訴求軸である「Connected」体験——アプリ経由の鍵シェアや航続距離表示——は、発売当初iOS版でシェア機能が未実装、Android版でもペアリング不具合が報告された。gt1000氏がはてなブログ(2021年7月11日)で技術的観点からアプリの問題点を詳述している〔要検証——ソースページ現行版で該当記述の原文未確認〕。

バッテリーのPSE取得状況が不透明。充電器は電気用品安全法に基づく第三者認証を実施済みだが、リチウムイオンバッテリーパック本体のPSEマーク取得状況はglafit公式サイトに明記がない〔未確認——公式サイトに明示的記載なし〕。購入検討者はglafitサポートに直接確認されたい。

本件の批判的な名前付き個人レビュアーはgt1000氏(はてなブログ、要検証)1名にとどまった。5chスレッドの投稿は匿名のため含まない。

応援したいポイント

大径タイヤの安定性・Makuake2作連続1億円超の実績・国内設計組立体制という三つの強みから、glafitとLOMを支援する根拠を示す。
出典:glafit 公式サイト

大径タイヤがもたらす公道での安定性。前輪12インチ・後輪10インチは電動キックボードとしては異例のサイズ。段差や路面の凹凸に対する安定性を確保し、正面向き乗車との組み合わせで低速走行でもバランスを崩しにくい。GetNavi webの試乗記事(2021年)は大口径前輪の安心感と登り坂での安定性を高く評価した。

Makuake 2作連続1億円超の実行力。GFR-01で1億2,800万円、LOMで約1.55億円と、glafitはクラウドファンディングで継続的に支持を集めてきた。2021年の約10億円の資金調達、2025年の本社移転と、キャンペーン終了後も事業継続の姿勢を示している点は支援者にとっての安心材料。

国内設計・国内組立の一貫体制。デザインから最終組立まで和歌山で完結し、資本業務提携先のノーリツプレシジョンでの製造体制は品質管理面で海外OEM品との差別化要素になる。ITmedia NEWSの武者良太氏(バイク歴40年超・Makuake支援者)は2021年4月30日の記事で、LOMの折りたたみ携行性と近距離移動での快適さを評価している〔要検証——ソースページ現行版で該当記述の原文未確認〕。Business Insider Japanも試乗記事で肯定的な体験を記録した(2021年)。

肯定的な名前付き個人レビュアーは武者良太氏(ITmedia NEWS、要検証)1名にとどまり、GetNavi web・Business Insider Japanの試乗記事は執筆者氏名が本調査で特定できなかった。

比較・代替案

BLAZE EV SCOOTER。LOMと同じ立ち乗り型・公道対応の電動スクーター。折りたたみ機構を備え、楽天市場の公式ショップで197,600円(税込)とLOMの一般販売価格より約4.4万円安い。ブレイズ株式会社による国内ブランドで、楽天・Amazon・公式サイトで新品購入が可能。

その他の購入先

Segway Ninebot J-MAX。セグウェイ・ナインボットによる公道対応の電動キックスクーター。立ち乗りキックボードスタイルで、世界最大手ブランドの信頼性と国際的なアフターサービス網が強み。購入は公式サイト経由が確実。

その他の購入先

まとめ

X-SCOOTER LOMは、公道を走れる立ち乗りモビリティという未開拓カテゴリに原付一種として正面から挑んだ製品だ。大径タイヤによる走行安定性、国内一貫製造体制、Panasonic製BMS搭載と、ハードウェアの設計思想には見るべきものがある。一方で出荷遅延時の情報開示不足、アプリの初期不具合、走行中の電源遮断という安全上の問題は、「Connected」を掲げた製品としての信頼を損なう結果を招いた。バッテリーのPSE取得状況が公式に明示されていない点も、購入判断にあたって確認が欠かせない。

2023年の特定小型原付制度で市場構造が変わり、免許不要で乗れる10万円以下の選択肢が増えたいま、242,000円・原付免許必須のLOMは立ち位置の再定義を迫られている。

いま中古で検討している人へ。バッテリーの劣化状態とファームウェアバージョンを必ず確認すること。走行中の電源遮断問題が改修済みかどうかはglafitサポートへの問い合わせが必須。バッテリーパックのPSE取得状況もあわせて確認されたい。原付一種のため免許・ナンバー・自賠責が必要な点も忘れずに。

これからX-SCOOTER LOMを買いたい人へ。一般販売価格242,000円は特定小型原付カテゴリの新製品群と比べて高価格帯に位置する。購入前にglafit公式サイトで現行仕様とアプリの改善状況を確認し、試乗機会があれば実際の乗り心地を体験してから判断したい。

その他の購入先

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Alex Ishiguro

編集長

MakuakeやCAMPFIREで話題になった商品の「その後」を追うメディアを運営。約束されたものが実際に届いたのか、消えてしまったのかを記録する。

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