Makuake

EcoFlow RIVER 600——5億円の通信簿

Alex Ishiguro 読了目安:5分
EcoFlow RIVER 600——5億円の通信簿
目次
  1. 1プロダクト概要
  2. 2クリエイター・プロフィール
  3. 3市場背景
  4. 4気になるポイント
  5. 5応援したいポイント
  6. 6比較・代替案
  7. 7まとめ

2020年8月末。まだ「ポータブル電源」という言葉が一般層に届きかけていた頃、Makuakeに1つのプロジェクトが立ち上がった。目標100万円。結果は5億926万円、サポーター6,098人。達成率50,926%。当時のMakuake歴代最高額だ。

仕掛けたのは無名のスタートアップではない。ドローン世界最大手DJI出身のエンジニアらが深センで興したEcoFlow——前年にもMakuakeで2億8,000万円を叩き出した、ポータブル電源の本命だった。

あれから6年。初代RIVERシリーズはすでに販売終了し、後継機は第3世代に入っている。「歴代最高額」の看板商品は、いま振り返るとどんなプロダクトだったのか。

プロダクト概要

RIVER 600シリーズは、容量288Wh〜1440Whの幅で「選べて、変えられる」モジュール式ポータブル電源だ。基本モデルのRIVER 600(288Wh・約5kg)にエクストラバッテリーを合体させればRIVER 600 MAX(576Wh)に、上位のRIVER 600 PRO(720Wh)なら同様に1440Whまで拡張できる。家族構成やライフスタイルの変化に応じて容量を足せる設計は、2020年当時の主要競合には見られなかった。

ポータブル電源「RIVER」。充電表示と複数の出力ポートを備えた、キャンプや災害時用の移動式バッテリー。
出典:nerdtechy

もうひとつの目玉がX-Boost技術。定格出力600Wの本体で、ドライヤーや電子レンジといった最大1200Wクラスの家電を電圧降下させて動かせる。ただし「1200W出力」ではなく「1200W家電を降圧して作動可能」であり、風量や加熱時間には影響が出る〔確認済——複数の日本語実機レビューで検証〕。キャンペーン価格は基本モデルが超早割で約¥29,700(25%OFF)、一般販売予定価格¥39,600。最上位のPRO+エクストラバッテリーは超早割¥77,900(40%OFF)だった。

クリエイター・プロフィール

EcoFlow Technology Ltd.は2017年、DJI出身の王雷(英語名:Bruce Wang)を中心に深センで創業。創業メンバー4人のうち3人がDJI出身だ〔確認済〕。日本法人EcoFlow Technology Japanは東京・江東区に拠点を置き、ビックカメラやヨドバシカメラにも製品を卸す。Makuakeでは2019年のEFDELTA(2億8,000万円)、2021年のDELTA Pro(3億7,000万円超)と大型プロジェクトを連発し、いずれも製品化・一般販売まで完了している〔確認済〕。クラウドファンディング専業の新興企業とは明確に異なる企業体力を持つ実行者だ。

市場背景

2020年当時、日本のポータブル電源市場はJackeryとAnker PowerHouseが二強で、suaokiがコスパ層を押さえていた。しかしいずれも「容量は買った時点で固定」が常識だった。EcoFlowがモジュール式拡張と超高速充電(1時間で80%)を引っ提げて参入したのは、2019年の台風15号・19号の記憶が残り、さらにCOVID-19による在宅勤務の拡大で「自宅の電源バックアップ」への需要が一気に顕在化したタイミングだった。5億円という数字は、製品力だけでなく社会的な追い風も含めた結果だろう。

EcoFlow RIVER 600 MAXのポート配置と接続端子の詳細図

本プロジェクトは米Kickstarterでの展開(2020年5月、約2.2億円調達)に続く日本向け展開だ。Makuakeキャンペーンページでは安全性への取り組みが強調されているが、日本版固有の仕様変更について具体的な記述は確認できていない〔要検証〕。

気になるポイント

「最大1200W」の見せ方。キャンペーンタイトルに堂々と掲げられた「高出力」の文字。本文を読めばX-Boostによる降圧動作であることはわかるが、見出しだけで判断したサポーターが「1200W出力の電源」と誤解するリスクは否定できない。技術的に虚偽ではないが、タイトルとバナーの表現はやや攻めすぎだ〔確認済——キャンペーンページ本文との乖離を確認〕。

EcoFlow社のポータブル電源RIVER 600 MAX/PROを、キッチンで複数の家電製品と並べて展示している様子。
出典:YouTube

初代バッテリーの寿命問題。RIVER 600シリーズはNCM(三元素リチウムイオン)電池を採用しており、充放電サイクル寿命は約800回〔確認済——複数レビューサイトで一致〕。2022年以降のRIVER 2シリーズはLFP(リン酸鉄)に切り替わり3,000回に跳ね上がった。2020年当時としては標準的だが、いま中古で手に取ることを考えると劣化リスクは無視できない。

販売終了後のサポート。初代RIVERシリーズはすでにEcoFlow公式サイトから消えており、エクストラバッテリーも含め新品での入手は不可能。長期的なバッテリー交換や修理対応がどこまで続くかは、EcoFlow Japanからの公式見解が確認できていない〔未確認〕。

ポータブル電源「RIVER 600」の製品紹介画像。80,000mAh/288Whの容量と複数の充電機能を搭載。
出典:obs

応援したいポイント

価格設定の誠実さ。キャンペーン価格と一般販売価格がほぼ一致していた点は特筆に値する。クラウドファンディングでありがちな「一般販売予定価格を吊り上げて割引率を大きく見せる」手法をEcoFlowは使っていない。RIVER 600の一般販売価格は¥39,600で、キャンペーンの超早割はそこからの実質的な値引きだ〔確認済〕。

EcoFlow RIVER Pro 製品詳細|高い利便性と信頼性 | ポタ電Labo
出典:potadenlabo

配送の履行。一般販売が2021年2月に開始されていること、2020年末にはレビュー記事が出始めていることから、大幅な遅延はなかったと推測される。ただし公式の配送完了報告は確認できていない〔未確認〕。

モジュール式という先見性。「今は288Whで十分だけど、家族が増えたら足せばいい」——この提案は2020年当時、他社にはできなかった。当時の市場に風穴を開けた設計思想だ。

比較・代替案

初代RIVER 600シリーズが販売終了した今、同じニーズを満たす現行モデルを紹介する。

EcoFlowの正統後継を選ぶならRIVER 3 Plus(税込¥39,800前後)。LFPバッテリーで寿命3,000回、60分フル充電と、初代の弱点をほぼ潰している。容量を重視するならRIVER 3 Plus+EB300エクストラバッテリーのセット販売(RIVER 3 Max名義、¥69,700前後)がモジュール拡張の思想を引き継ぐ。

ブランドを問わないなら、Jackery 300 Plusは288Wh帯の定番で安定感がある。超軽量を求めるなら約2.8kgのAnker Solix C300 DC(実売¥20,000前後)がAC出力を割り切ったデイユース向けの選択肢だ。

まとめ

EcoFlow RIVER 600シリーズのMakuakeキャンペーンは、クラウドファンディングの理想形に近い事例だ。実績ある企業が海外で検証済みの製品を適正価格で先行販売し、概ね予定通りに届けた。表現上の攻めはあったが虚偽ではない。5億円に見合う実体があったプロジェクトだと評価できる。

いま中古で検討している人へ。初代RIVERシリーズはNCMバッテリーのため、製造から6年が経過した2026年現在、劣化が進んでいる個体が多いはずだ。フリマアプリでの出品を見かけても、充放電サイクル数を確認する手段がない以上、¥15,000以上の出費は割に合わない。エクストラバッテリーの単体入手も困難で、モジュール拡張の恩恵は事実上受けられない。

これからポータブル電源を買いたい人へ。288Wh帯ならAnker Solix C300 DC(実売¥20,000前後)かJackery 300 Plus。初代RIVERの後継が欲しいならEcoFlow RIVER 3 Plus(税込¥39,800前後)が機能・価格ともに最適解だ。いずれもLFPバッテリー搭載で、初代の3倍以上の充放電寿命がある。

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Alex Ishiguro

編集長

MakuakeやCAMPFIREで話題になった商品の「その後」を追うメディアを運営。約束されたものが実際に届いたのか、消えてしまったのかを記録する。

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